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コスト改善

原状回復の工種別単価比較表|相場より高い?安い?

吉野 博

株式会社LinK 代表 / 業界歴約11年 / 原状回復・リフォーム専門

「見積もりをもらったけど、この単価って高いの?安いの?」——原状回復を担当している管理会社の方から、最もよくいただく質問がこれです。相場感がなければ、業者の提示額をそのまま受け入れるしかありません。そして、受け入れ続けた結果、発注コストが静かに膨らんでいくのが、この業界の構造的な問題です。

結論から言います。工種別の単価を把握して見積書と照合すれば、過剰請求の大半は見抜けます。 「一式」で丸めた見積もりを内訳に分解し、工種ごとの単価を相場と比べるだけでいい。難しい知識は要りません。

この記事では、原状回復で発生する主な工種の単価相場を関東一都三県(東京・千葉・埼玉・神奈川)の現場データをもとに一覧化します。単価が高い・安いそれぞれのリスク、「一式」見積もりの危険性、そしてLinKが単価を設定する考え方まで、数字を軸に解説します。

工種別の単価相場を一覧で確認する

まず全工種の相場をひと目で把握できるよう、テーブルにまとめます。詳細な内訳と注意点は、各工種のセクションで解説します。

工種 単価(関東一都三県の目安) 単位
クロス(量産品) 800〜1,100円 /m²
クロス(1000番台) 1,200〜1,600円 /m²
CF(クッションフロア) 2,500〜4,500円 /m²
フローリング部分補修 10,000〜30,000円 /箇所
フローリング全面張替え 6,000〜12,000円 /m²
ハウスクリーニング(1K) 25,000〜35,000円 /戸
ハウスクリーニング(2LDK) 45,000〜70,000円 /戸
塗装(内壁) 3,000〜6,000円 /m²
畳(表替え) 3,000〜8,000円 /畳
畳(新調) 15,000〜35,000円 /畳
水回りクリーニング(浴室) 15,000〜25,000円 /箇所
水回りクリーニング(キッチン) 12,000〜20,000円 /箇所
水回りクリーニング(トイレ) 5,000〜10,000円 /箇所
エアコンクリーニング 8,000〜15,000円 /台
鍵交換 10,000〜20,000円 /箇所

この幅がなぜこれだけ広いのかは、各工種の解説で掘り下げます。「安い」と「高い」には、それぞれ理由があります。

クロス・CFの単価はどう見ればよいか?

クロス(壁紙)とCF(クッションフロア)は、原状回復で最も発生頻度が高い工種です。単価の仕組みを理解しておくと、見積書のチェックが格段にラクになります。

クロス張替えの単価内訳

クロス張替えの費用は「材料費+施工費+廃材処理費」の合計です。量産品クロスの場合、材料単価はメーカー卸価格で200〜350円/m²程度です。施工費(剥がし・下地処理・貼付)が500〜700円/m²前後。廃材処理が50〜100円/m²で、合計が800〜1,100円/m²というのが相場の実態です。

1000番台(ハイグレード)クロスは材料単価が400〜700円/m²に上がります。施工手間は量産品とほぼ同じですが、素材の扱いに細心さが必要なため施工費が若干高くなり、合計1,200〜1,600円/m²が適正範囲です。

2,000円/m²を超える場合は、多重下請けによる中間マージンが積み重なっている可能性があります。相場と照合してください。クロスの種類と費用の詳細はクロス張替えの費用相場ガイドで解説しています。

CF張替えの単価内訳

CF(クッションフロア)は1.8mm〜2.0mm厚のシート系床材で、水回りや洋室で広く使われます。材料単価は450〜700円/m²程度、施工費(剥がし・下地調整・貼付・巾木処理)が2,000〜3,800円/m²で合計2,500〜4,500円/m²が適正範囲です。

施工単価が5,000円/m²を超える場合は、マージン構造を疑う必要があります。逆に1,800円/m²以下の極端に安い見積もりでは、下地調整の省略や薄い安価品の使用リスクがあります。CF・フローリングの費用詳細はCF(クッションフロア)張替え費用ガイドフローリング張替えの費用相場ガイドを参照してください。

フローリングとハウスクリーニングの単価はどう見るか?

フローリングとハウスクリーニングは、単価のばらつきが最も大きい工種です。業者の実力と構造が価格に出やすいため、相場との照合が特に重要になります。

フローリング補修・張替えの単価

フローリング補修の単価は作業内容で大きく異なります。

補修内容 費用目安
小キズ・凹み補修(1〜2箇所) 10,000〜15,000円/箇所
中程度の損傷(変色・剥がれを含む) 15,000〜30,000円/箇所
部分張替え(1〜2枚単位) 20,000〜40,000円
全面張替え(合板フローリング) 6,000〜9,000円/m²
全面張替え(無垢材) 10,000〜12,000円/m²

補修範囲が「3箇所以上」になる場合は、部分補修より全面張替えのほうがコストパフォーマンスが高くなるケースが多いです。「補修か張替えか」の判断材料はフローリング張替えの費用相場ガイドで詳しく扱っています。

ハウスクリーニングの単価

ハウスクリーニングの費用は、間取り・清掃の状態・水回りの汚損度によって幅があります。

間取り 費用目安 備考
1K・1R 25,000〜35,000円 水回り1点付き(浴室or洗面)
1LDK 30,000〜45,000円 水回り2点付き
2LDK 45,000〜70,000円 水回り3点付き
3LDK 60,000〜90,000円 水回り4点付き

「エアコンクリーニング込みか別途か」「換気扇分解洗浄が含まれるか」で費用が変わります。見積もりの作業範囲を必ず確認してください。ハウスクリーニングの詳細はハウスクリーニング費用ガイドで解説しています。

塗装・畳・水回りの単価はどの程度か?

発生頻度はクロスやCFより低いですが、単価の差が大きく出やすい工種です。

塗装の単価

内壁塗装が必要になるのは、クロスが下地ごと劣化した場合や、コンクリート打ちっぱなしの物件、あるいは借主の故意による損傷でクロスが使えないケースです。

塗装の種類 単価目安
内壁塗装(一般的な仕上げ) 3,000〜5,000円/m²
内壁塗装(プレミアム仕上げ) 4,500〜6,000円/m²
天井塗装 2,500〜4,000円/m²

10,000円/m²を超える見積もりは、マージンか材料・技術の過剰提案が疑われます。塗装費用の詳細は塗装費用ガイドを参照してください。

畳の単価

和室付き物件では、畳の処理方法によって費用が大きく変わります。

処理方法 単価目安 判断基準
表替え(ゴザのみ交換) 3,000〜8,000円/畳 骨格が問題ない場合
裏返し(表面を裏に返す) 2,000〜5,000円/畳 使用年数が浅い場合
新調(畳丸ごと交換) 15,000〜35,000円/畳 骨格が劣化している場合

表替えで15,000円/畳を超える見積もりは、過剰マージンの可能性があります。畳の選択肢と費用の詳細は畳費用ガイドで解説しています。

水回り修繕の単価概算

水回りの損傷は部位ごとに費用が異なります。クリーニングにとどまらず交換・修繕が必要な場合の目安は以下の通りです。

部位 費用目安 備考
水栓交換(浴室・洗面・キッチン) 20,000〜50,000円 部材代+施工費
便座交換(ウォシュレット) 35,000〜80,000円 機種による
浴室コーキング打ち直し 15,000〜30,000円 カビ発生時
浴室扉交換 80,000〜150,000円
キッチンシンク補修 10,000〜30,000円 傷・ひび補修

水回り修繕の詳細は水回り修繕費用ガイドで工事別にまとめています。

「一式」見積もりはなぜ危険なのか?

見積書に「原状回復工事一式 ○○万円」としか書かれていない場合、管理会社にとって3つのリスクが発生します。

リスク1: 単価が正当かどうか検証できない

単価と数量の内訳がなければ、クロス1枚あたりいくらで計算されているか確認できません。業者の言い値をそのまま支払うことになります。たとえば、量産品クロスが「一式」に含まれていたとして、実際には1,800円/m²で計算されていても気づきようがありません。相場(800〜1,100円/m²)の倍近い単価が通り続けます。

リスク2: オーナーへの説明責任が果たせない

オーナーから「なぜこの金額なのか」と聞かれたとき、内訳のない見積書しかなければ「業者の提示額です」という回答しかできません。管理会社として費用の妥当性を説明できないことは、オーナーとの信頼関係に直接響きます。見積書の正しい読み方と内訳確認のポイントは見積書を正しく読む5つのチェックポイントで解説しています。

リスク3: 追加費用の根拠が不明になる

「一式」の範囲が曖昧なため、着工後に「この作業は含まれていませんでした」という後出し請求が発生しやすくなります。追加費用の発生が「一式」の解釈問題として処理されると、管理会社は反論する根拠を持てません。

見積書は必ず「工種・数量・単価」の3項目が揃っているものを要求してください。一式での提示しかできない業者は、発注構造の見直しを検討するきっかけとして捉えてよいと思います。見積書の透明性と業界構造の関係は見積もり透明性を業界構造から解説した記事で詳しく分析しています。

単価が「安すぎる」「高すぎる」ときに何が起きているのか?

相場と大きく外れた単価には、必ず理由があります。安い場合も高い場合も、その原因を理解しておくことが管理会社の担当者に求められる実務知識です。

安すぎる場合:施工品質と後出し請求のリスク

相場より30%以上安い単価の場合、以下の省略が行われている可能性があります。

  • 下地処理の省略: クロス施工前のパテ処理(凹凸をならす作業)を省くと、施工後にクロスが浮いてくる
  • 重ね張り(既存クロスの上から貼る): 剥がし工程を省くことでコストを下げるが、短期間で剥がれやすくなる
  • 廉価材料の使用: 品番非公開の安価クロスを使用し、品質が落ちる

また、意図的に低い初期見積もりを出し、着工後に「現場を見たら想定外の状態でした」と追加費用を請求するケースもあります。施工後に問題が発覚した場合、工期・費用・入居者トラブルのすべてが管理会社の負担になります。相見積もりを取って比較する方法は相見積もりで原状回復コストを適正化する方法で解説しています。

高すぎる場合:多重下請け構造による中間マージン

相場を大きく超える単価になる場合、最も多い原因は多重下請け構造による中間マージンの積み重なりです。

管理会社→元請け→一次下請け→二次下請け→職人という流れでは、各層で10〜25%のマージンが上乗せされます。職人の実費が100だとすると、最終的な請求額は160〜200になることが計算上起こりえます。クロス張替えを例にとると、職人が1,000円/m²でやっている仕事が、元請け経由で1,700〜2,000円/m²になることがあります。この構造の詳細は原状回復の多重下請け構造と中間マージンの実態で数値とともに解説しています。

LinKの単価設定の考え方

LinKの場合は、60社以上の協力会社(クロス職人、床職人、クリーニング専門業者、設備業者など)に代表の吉野が直接発注しています。元請け業者を介さないため、中間マージンが発生しません。職人の実費(材料費+施工費)に、現場確認・見積作成・工程管理・写真報告書作成の管理コストを加えた額を提示しています。工種ごとに単価と数量を明示した内訳書を必ず発行します。「なぜこの金額か」を答えられる見積もりが、管理会社さんとオーナーさんの間の信頼を支えると考えているからです。

具体的なコスト削減の手法は原状回復コストを下げる5つの実践策でまとめています。減価償却を適用した費用負担の計算方法は減価償却の計算方法と実務への活かし方で解説しています。

よくある質問

Q. 見積書に単価が書かれていない場合、どう確認すればよいですか?

A. 「工種別の単価と施工数量を明示した内訳書を発行してもらえますか?」と依頼してください。内訳書を出せない業者は、内部の発注構造に問題がある可能性があります。出してもらえない場合は、別の業者からも見積もりを取得して比較することをお勧めします。

Q. クロスは量産品と1000番台でどちらが得ですか?

A. 賃貸の原状回復であれば、量産品クロス(800〜1,100円/m²)が費用対効果の面では優位です。ただし、居室のアクセント壁1面だけ1000番台を使う「選択的グレードアップ」は、内見時の印象を高めつつコストを抑える有効な手法です。全室を一律に決める前に、用途と物件の価格帯で使い分けを検討してみてください。

Q. 相場から外れた見積もりを受け取ったとき、どう交渉すればよいですか?

A. この記事の単価テーブルを参考資料として示しながら、「この工種の単価相場が○○円/m²と把握しているが、御社の単価はどのような根拠になっているか」と確認するのが有効です。根拠を明示できる業者は信頼できます。「これが当社の価格です」以上の説明がない場合は、相見積もりを取る判断材料になります。


株式会社LinK / 代表取締役 吉野 博 原状回復・リフォーム・リノベーション 関東一都三県対応(東京・千葉・埼玉・神奈川) HP: https://link-8.jp お問い合わせ: 03-6825-2464

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