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業界知識

フローリング張替えの費用相場|6畳・1LDK・2LDKの間取り別に現場のプロが解説

吉野 博

株式会社LinK 代表 / 業界歴約11年 / 原状回復・リフォーム専門

「フローリングの張替え、いくらかかるのか」——退去が決まった物件の床を見て、管理会社の担当者が最初に知りたいことです。

結論から言うと、フローリング張替えの費用相場は6畳で9〜18万円です。ただし、この費用は「床材の種類」「張替えか重ね張りか」「発注構造」で大きく変わります。重ね張り工法を選べば20〜30%安くなり、CF(クッションフロア)への変更なら4〜8万円まで下がります。

この記事では、フローリングの種類ごとの特徴と単価、工法別の費用差、間取り別の費用テーブル、経年劣化の考え方、張替えタイミングの判断基準、そしてコストを抑える具体的な方法まで解説します。

フローリングの種類と特徴はどう違うのか

賃貸物件の床材は、大きく4種類に分かれます。それぞれの特徴と費用感を把握しておくことで、物件の用途や予算に合った選定ができます。

複合フローリング(合板フローリング)

複合フローリングの張替え費用は6畳で9〜18万円(1畳あたり約3〜6万円)です。合板の基材の表面に、薄い天然木や化粧シートを貼り合わせた製品です。温度・湿度による伸縮が少なく、反りやゆがみが起きにくいのが特長です。

賃貸物件のフローリングでは、この複合フローリングが最も多く採用されています。理由は、コストと耐久性のバランスが優れていること、そしてデザインの選択肢が豊富なことです。木目調のバリエーションが多く、物件の雰囲気に合わせた選定が可能です。

無垢フローリング

無垢フローリングの張替え費用は6畳で11〜14万円です。天然木の一枚板をそのまま加工した製品で、木本来の質感と経年変化が楽しめます。

ただし、賃貸物件での採用には注意が必要です。温度・湿度の変化で膨張・収縮し、隙間や反りが発生しやすい性質があります。入居者の使い方による傷も目立ちやすく、退去時の補修コストが嵩む傾向があります。分譲マンションのリフォームや、デザイナーズ賃貸など差別化を図りたい物件向けです。

CF(クッションフロア)

CFの張替え費用は6畳で4〜8万円です。塩化ビニール素材のシート状床材で、フローリング調・タイル調・大理石調など多様なデザインがあります。

最大のメリットはコストです。フローリング張替えの半額以下で施工でき、工期も短い。水に強く、水回り(キッチン・洗面・トイレ)の床材としても広く使われています。賃貸原状回復では、コスト重視の場合にフローリングからCFへ変更するケースが増えています。デメリットは耐久性で、重い家具の跡がつきやすく、フローリングと比べると見た目の高級感は劣ります。

長尺シート

長尺シートは、CFと同じ塩化ビニール素材ですが、厚みと耐久性が大幅に強化された製品です。費用はCFよりやや高く、6畳で6〜10万円が目安です。

土足で歩く共用廊下やエントランス、テナント物件の床に適しています。耐摩耗性が高く、ワックスメンテナンスで長期間使用できるため、トータルコストではCFより有利になるケースもあります。賃貸居室にはオーバースペックですが、共用部の改修では検討する価値があります。

工法の違いで費用はどれだけ変わるのか

フローリングの施工には「張替え」と「重ね張り(上張り)」の2つの工法があります。工法の選択は費用に直結するため、それぞれの特徴とメリット・デメリットを押さえておくことが重要です。

張替え工法

既存の床材を撤去し、下地を確認・補修したうえで新しい床材を張る工法です。1畳あたり3〜6万円が目安です。

メリットは、下地の状態を確認できるため、腐食やカビなどの問題を発見して対処できること。デメリットは、既存床材の撤去・処分費が発生するため、重ね張りより費用が高くなることです。また、撤去作業に時間がかかるため工期も長くなります。

下地に問題がある場合(水漏れ跡、シロアリ被害、カビなど)は、張替え工法の一択です。

重ね張り(上張り)工法

既存の床材の上に、新しい床材をそのまま重ねて張る工法です。1畳あたり2〜5万円が目安で、張替えより20〜30%安いのが最大のメリットです。

撤去費が不要で廃材も出ないため、コストと工期の両方を圧縮できます。6畳の部屋なら、張替えで2〜3日かかるところを重ね張りなら1日で完了するケースもあります。

ただし、重ね張りには制約があります。既存床材と新しい床材の厚み(通常3〜12mm)が加算されるため、ドアの開閉に干渉する場合はドアの下部をカットする追加作業が必要です。また、既存の床材が大きく劣化している場合や下地に問題がある場合は、重ね張りはできません。

工法選択の判断基準

以下の条件に当てはまる場合は「張替え」を選んでください。

  • 既存床材に大きな浮き・剥がれ・軋みがある
  • 床下からの湿気やカビ臭がある
  • 水漏れの痕跡がある
  • 築年数が古く、下地の状態が不明

上記に該当しない場合は、重ね張りでコストと工期を抑えるのが合理的です。

間取り別の費用目安はいくらか

間取り別費用テーブル

フローリング張替えの費用は、部屋の広さ・床材の種類・工法で決まります。以下は関東一都三県における費用目安です。

張替え工法の場合

間取り 畳数目安 複合フローリング 無垢フローリング CF
1K・1R 4.5〜6畳 7〜18万円 8〜14万円 3〜8万円
1LDK 10〜12畳 15〜36万円 18〜28万円 7〜15万円
2LDK 16〜20畳 24〜60万円 30〜50万円 12〜25万円
3LDK 22〜28畳 33〜84万円 40〜70万円 16〜35万円

重ね張り工法の場合(張替えの20〜30%安)

間取り 畳数目安 複合フローリング CF(上張り)
1K・1R 4.5〜6畳 5〜13万円 2〜6万円
1LDK 10〜12畳 11〜25万円 5〜11万円
2LDK 16〜20畳 17〜42万円 9〜18万円
3LDK 22〜28畳 23〜59万円 11〜25万円

費用に含まれるもの・含まれないもの

上記の費用目安には、材料費・施工費が含まれています。張替え工法の場合は、既存床材の撤去・処分費、下地処理費も含んでいます。一方、以下の費用は別途発生する可能性があります。

  • 下地合板の補修・交換(腐食やカビが見つかった場合):5,000〜15,000円/m²
  • 巾木(はばき)の交換:500〜800円/m
  • ドア下部のカット(重ね張りで干渉する場合):5,000〜10,000円/箇所
  • 家具移動費:入居中の施工の場合に発生
  • 廃材処分費(張替え工法で見積もりに含まれていない場合):10,000〜30,000円

見積もり時に「一式」とだけ記載されている場合は、何が含まれていて何が別途なのかを必ず確認してください。原状回復の費用相場ガイドでも解説していますが、内訳のない「一式」見積もりは、追加費用リスクの温床です。

経年劣化で費用負担はどう変わるのか

フローリングの耐用年数は何年か

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、フローリングの耐用年数について以下のように定めています。

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」において、フローリングは「建物本体と同様に長期間の使用に耐えうる」とされ、経過年数を考慮しない扱いとなっている。ただし、CF(クッションフロア)の耐用年数は6年とされ、6年経過後の残存価値は1円と算定される。

つまり、木質系フローリング(複合・無垢)は、クロスやCFのように耐用年数に応じた減価償却が適用されません。借主の過失でフローリングに損傷を与えた場合、居住年数に関係なく、補修または張替え費用の一定割合を借主に請求できます。

一方、CFは耐用年数6年です。6年以上居住した物件では、CFの残存価値は1円となり、借主負担額はほぼゼロになります。

借主負担とオーナー負担の判断基準

フローリングの損傷が「通常使用による経年劣化」か「借主の過失」かで、費用負担が分かれます。

オーナー負担になるもの(通常損耗・経年劣化)

  • 家具の設置跡(へこみ・日焼け跡)
  • 日光による変色・退色
  • ワックスの劣化による黒ずみ
  • フローリングの自然な反り・隙間

借主負担になるもの(故意・過失)

  • 引きずり傷(家具の移動による深い傷)
  • 水をこぼして放置したことによる膨張・変色
  • ペットの爪傷
  • 物の落下による打痕・欠け
  • タバコの焦げ跡

ただし、フローリングの場合は「部分補修」と「全面張替え」で対応が異なります。ガイドラインでは、フローリングの損傷は原則として損傷箇所のみの補修費用が借主負担となり、1枚単位の交換が基本です。全面張替えが必要な場合でも、借主負担は損傷した箇所相当分に限定されます。

経年劣化と借主負担の考え方については、経年劣化ガイドで設備別の耐用年数一覧や減価償却の計算方法を詳しく解説しています。

フローリング張替えのタイミングをどう判断するか

張替えが必要な5つのサイン

フローリングの張替え時期を見極めるには、以下の5つのサインを確認します。

  1. 広範囲の傷・凹みが目立つ:部分補修では対応しきれない量の傷。内見時の印象を大きく左右する
  2. 反り・浮きが発生している:湿気による変形。放置すると歩行時の軋み音や隙間の拡大につながる
  3. 表面の剥離:複合フローリングの表面化粧材が剥がれている。踏んだときに引っかかる状態
  4. 水染み・変色が広範囲:キッチン・洗面付近や結露の多い窓際に発生しやすい
  5. 築15年以上で一度も張り替えていない:見た目に問題がなくても、下地の劣化が進行している可能性がある

全面張替えと部分補修の使い分け

退去のたびに全面張替えをする必要はありません。判断基準は以下の通りです。

  • 全面張替え:傷・変色が全体の3割以上に及ぶ、反りや浮きが複数箇所で発生、築年数15年以上
  • 部分補修:傷が1〜3箇所で軽度、小さな凹みや打痕のみ

部分補修には「色合わせ」と「段差」の問題があります。同じ品番のフローリングでも、経年変化で既存部分と新規部分の色が異なることがあります。また、フローリングは1枚単位での交換が難しく、列単位での張替えになるケースが多いです。内見に影響するレベルの補修跡が残る場合は、全面張替えのほうが空室対策としてコストパフォーマンスが高くなります。

フローリング張替え費用を抑える3つの方法

方法1: 中間マージンのない業者に直接発注する

フローリング張替えの費用が高くなる最大の原因は、多重下請け構造による中間マージンです。管理会社→元請け→一次下請け→床職人という流れでは、各層に10〜20%のマージンが発生します。

株式会社LinKでは、60社以上の協力会社(床職人、クロス職人、設備業者など)に直接発注しています。代表の吉野が現場を確認し、専門の床職人に直接依頼する体制のため、中間マージンが発生しません。同品質の施工で15〜30%のコスト削減が可能です。

クロス張替えの費用ガイドでも解説していますが、床・クロス・設備をまとめて依頼できる業者に一括発注することで、工種ごとの段取り調整費も削減できます。

方法2: CFへの変更を検討する

フローリングの張替え費用を大幅に下げる方法として、CF(クッションフロア)への変更があります。

  • フローリング→フローリング張替え:6畳で9〜18万円
  • フローリング→CF張替え:6畳で4〜8万円

CFにすることで費用は半額以下になります。「フローリング調」のCFであれば見た目の違いも最小限です。特に、家賃帯が5〜8万円のワンルーム・1Kでは、入居者がフローリングとCFの違いを気にするケースは多くありません。水回りと居室で床材を使い分け、コストと見栄えを両立させる方法もあります。

方法3: 部分補修と重ね張りを活用する

全面張替えが不要な場合は、部分補修と重ね張りの組み合わせでコストを圧縮できます。

  • 軽度の傷・凹み:リペア(補修)で対応。1箇所5,000〜15,000円
  • 中程度の劣化:重ね張り工法で張替えより20〜30%安く施工
  • 一部の部屋だけ劣化:劣化した部屋のみ施工し、状態の良い部屋はそのまま

退去のたびに全面張替えを繰り返すと、5年間の原状回復コストは数百万円単位で膨れ上がります。部屋ごと・箇所ごとに最適な工法を選ぶことで、年間のコストを大幅に抑えられます。

よくある質問

Q. フローリング張替えの工期はどのくらいですか?

A. 6畳の1部屋で1〜2日が目安です。張替え工法の場合は既存床材の撤去に時間がかかるため2日、重ね張りであれば1日で完了するケースが多いです。2LDK全室の張替えで3〜5日が目安です。退去後すぐに着工すれば、クロス張替え・ハウスクリーニングと並行して進められるため、全体の空室期間を最短に抑えられます。ハウスクリーニングの費用相場は退去時ハウスクリーニングの費用相場ガイドをご覧ください。

Q. フローリングの傷は退去時に入居者に請求できますか?

A. 借主の故意・過失による傷(引きずり傷、ペットの爪傷、物の落下による打痕など)は借主に請求できます。国土交通省のガイドラインでは、フローリングは「経過年数を考慮しない」とされているため、クロスやCFと異なり、居住年数による減価償却は適用されません。ただし、請求範囲は損傷箇所の補修費用(原則1枚単位)に限定され、全面張替え費用の全額を請求することはできません。

Q. フローリングとCFではどちらを選ぶべきですか?

A. 物件の家賃帯と入居者ターゲットで判断します。家賃10万円以上のファミリー物件や分譲タイプでは、フローリングの質感が入居者の満足度と物件価値に直結するため、複合フローリングが適切です。家賃5〜8万円のワンルーム・1Kであれば、フローリング調CFで十分です。水回りはどの家賃帯でもCFが標準です。コスト面では、CF張替え費用はフローリングの半額以下(6畳で4〜8万円 vs 9〜18万円)のため、費用対効果を重視するならCFの採用を積極的に検討してください。

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