退去時ハウスクリーニングの費用相場|間取り別・場所別に現場のプロが解説
「退去のたびにハウスクリーニング費用を精算しているが、この金額は本当に適正なのか」——管理会社の担当者から、頻繁にいただく質問です。
結論から言うと、退去時ハウスクリーニングの費用相場は1Kで2〜4万円、1LDKで3〜5万円、2LDKで4〜7万円、3LDKで7〜13.5万円です。ただし、空室か入居中か、業者の発注構造、場所別の追加オプションによって実際の請求額は大きく変わります。
この記事では、間取り別・場所別の費用相場、空室と入居中の費用差、費用負担の原則とクリーニング特約の有効要件、業者選びのポイントまで、原状回復の現場経験をもとに解説します。
間取り別ハウスクリーニングの費用相場はいくらか
間取り別の費用一覧
退去時ハウスクリーニングの費用は、間取り(専有面積)で決まります。以下は関東一都三県における空室クリーニングの一般的な相場です。
| 間取り | 費用相場(空室) | 主なクリーニング内容 |
|---|---|---|
| 1K・1R | 2〜4万円 | 水回り全般、床清掃、窓・サッシ |
| 1LDK | 3〜5万円 | 上記+リビング・キッチンの油汚れ除去 |
| 2LDK | 4〜7万円 | 上記+複数居室の清掃、ベランダ |
| 3LDK | 7〜13.5万円 | 全室清掃、水回り全箇所、バルコニー |
この相場は「空室」の場合です。入居中(荷物がある状態)のクリーニングは、家具の移動や養生が発生するため、空室より20〜30%高くなります。
費用に含まれる作業と含まれない作業
上記の費用に含まれるのは、一般的に以下の作業です。
- 含まれる: 水回り(キッチン・浴室・トイレ・洗面台)、床の掃除機がけ・拭き掃除、窓ガラス・サッシ清掃、建具の拭き取り、照明器具の清掃
- 含まれない: エアコンクリーニング、レンジフード分解洗浄、浴室エプロン内部洗浄、カビ除去の特殊作業、害虫駆除
見積もりを取る際は、「含まれる作業」と「オプション」の境界を必ず確認してください。「ハウスクリーニング一式」とだけ記載された見積書では、後から「エアコンは別料金です」と追加請求が発生するリスクがあります。
場所別の費用内訳はどのくらいか
キッチン・レンジフード
キッチン単体のクリーニング費用は1.5〜2.5万円です。シンク・コンロ・壁面のタイル・排水口の洗浄が含まれます。
レンジフード(換気扇)の分解洗浄は8,000〜1.5万円が別途かかります。油汚れの蓄積がひどい場合は、分解洗浄が必要です。退去後の内見で「キッチンの油汚れ」は入居希望者の印象を大きく左右するため、レンジフードの清掃は省略しないことをお勧めします。
浴室・トイレ・洗面台
浴室単体のクリーニング費用は1.5〜2万円です。浴槽・壁面・床・鏡のウロコ除去・排水口の洗浄が含まれます。エプロン(浴槽の側面カバー)の内部洗浄は別途3,000〜5,000円かかることがあります。カビが広範囲に発生している場合は、防カビコーティング(5,000〜1万円)を追加するケースもあります。
トイレは5,000〜8,000円、洗面台は4,000〜6,000円が目安です。水回りをまとめて依頼するとセット割引が適用される業者も多いため、個別に頼むよりまとめて見積もりを取るほうが費用を抑えられます。
エアコンクリーニング
エアコンクリーニングの費用は1台あたり約1万円です。お掃除機能付きエアコンは構造が複雑なため、約2万円と倍近くかかります。
退去時のハウスクリーニングにエアコン清掃が含まれていないケースは多いため、見積もり段階で必ず確認してください。特に喫煙者の退去後は、エアコン内部にヤニが付着しており、通常の清掃では臭いが取れないことがあります。
空室クリーニングと入居中クリーニングの費用差
空室は入居中より20〜30%安い
同じ間取り・同じ作業内容でも、空室クリーニングのほうが入居中より20〜30%安くなります。理由は明確です。
| 比較項目 | 空室 | 入居中 |
|---|---|---|
| 家具移動 | 不要 | 必要(養生含む) |
| 作業効率 | 高い(動線が確保しやすい) | 低い(物を避けて作業) |
| 所要時間 | 短い | 長い(1.5〜2倍) |
| 費用目安(2LDK) | 4〜7万円 | 5〜9万円 |
退去時のクリーニングは「空室状態」で行うのが原則です。入居者が退去した後、荷物が完全に搬出された状態でクリーニング業者を入れることで、費用を抑えつつ隅々まで清掃できます。
管理会社が注意すべきポイント
退去立会い後、入居者の荷物搬出が完了する前にクリーニングを手配してしまうと、「入居中扱い」の料金が適用されることがあります。荷物搬出の完了日を入居者に確認し、搬出完了後にクリーニングを発注する段取りが重要です。
退去から再募集までの空室期間を最短にする方法については、退去から再募集まで最短で回す方法|管理会社の原状回復フロー完全マニュアルで詳しく解説しています。退去立会い時の具体的なチェックポイントは退去立会いの完全チェックリストも併せてご活用ください。
ハウスクリーニング費用は誰が負担するのか
ガイドライン上はオーナー負担が原則
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」では、ハウスクリーニングは貸主(オーナー)負担が原則とされています。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、「通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」は貸主負担であり、ハウスクリーニング(専門業者による全体のクリーニング)は原則として貸主負担に区分される。
つまり、入居者が普通に生活していた場合の退去時クリーニング費用は、本来オーナーが負担するものです。
なお、原状回復費用全体の負担ルールについては、原状回復の費用相場はいくら? 1K〜3LDKの間取り別に現場のプロが解説で詳しくまとめています。
クリーニング特約で借主負担にできるケース
実務上は、賃貸借契約書にクリーニング特約を設けることで、ハウスクリーニング費用を借主負担とするケースが多くあります。国民生活センターによると、原状回復に関する相談は年間約1.3〜1.4万件寄せられており、その多くがクリーニング特約の解釈をめぐるトラブルです。
クリーニング特約が有効と認められる3つの要件
裁判例を踏まえると、クリーニング特約が有効と認められるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 金額が明示されていること: 「ハウスクリーニング費用は借主負担」だけでは不十分です。「退去時のハウスクリーニング費用として○万円(税別)を借主が負担する」と具体的な金額または算定基準が明記されている必要があります
- 借主が内容を認識し、合意していること: 契約締結時に、特約の内容について口頭での説明が行われ、借主が理解したうえで合意していることが求められます
- 借主の署名(または記名押印)があること: 特約条項について借主の署名があることで、合意の事実を証明できます
この3要件を満たさないクリーニング特約は、消費者契約法第10条により無効と判断されるリスクがあります。管理会社としては、契約書のひな形を見直し、特約の文言と説明フローが上記要件を満たしているか確認することをお勧めします。
経年劣化と借主負担の線引きについては、原状回復の経年劣化とは? 借主負担・貸主負担の線引きをガイドラインで解説も併せてご確認ください。
ハウスクリーニング業者を選ぶときの5つのチェックポイント
チェック1: 見積もりに作業内訳があるか
「ハウスクリーニング一式 5万円」としか書かれていない見積書では、何の作業が含まれているのか検証できません。最低限、「水回り」「床」「窓」「エアコン(有無)」「レンジフード(有無)」といった作業項目と、それぞれの費用が記載された見積書を要求してください。
チェック2: 現場確認を行うか
写真や図面だけで見積もりを出す業者は、実際の汚れ具合を把握できないまま作業にあたるため、「追加清掃が必要でした」と後から費用を請求されるリスクがあります。事前に現場を確認し、汚れの状態に応じた適切な見積もりを出す業者を選んでください。
チェック3: 仕上がりの基準が明確か
「どこまできれいにするか」の基準が曖昧な業者では、仕上がりにバラつきが出ます。清掃完了後のチェックリスト(水回りの水垢ゼロ、窓ガラスの手垢ゼロなど)を事前に提示できる業者は、品質管理の意識が高いと判断できます。
チェック4: 原状回復と一括で依頼できるか
退去時は、ハウスクリーニングだけでなく、クロス張替え・CF張替え・設備補修といった原状回復工事も同時に発生します。クリーニングと原状回復を別々の業者に発注すると、工程の調整コストが増え、空室期間が長引く原因になります。
クリーニングと原状回復を一括で任せられる業者であれば、工程管理が一本化され、退去から再募集までの日数を短縮できます。株式会社LinKでは、60社以上の協力会社(クリーニング業者、クロス職人、床職人、設備業者など)に直接発注する体制を取っているため、ハウスクリーニングから原状回復工事まで一括で対応できます。
チェック5: 損害保険に加入しているか
作業中に設備や内装を破損するリスクはゼロではありません。万が一の事故に備え、損害賠償保険に加入している業者を選ぶことが、管理会社としてのリスク管理になります。保険加入の有無は、見積もり依頼時に確認しておいてください。
よくある質問
Q. 退去時のハウスクリーニング費用を入居者に請求できますか?
A. 賃貸借契約書にクリーニング特約が明記されており、金額が具体的に記載され、借主の合意と署名がある場合は請求できます。特約がない場合、または特約の要件を満たさない場合は、国土交通省のガイドラインに基づきオーナー負担が原則です。特約の有効性を確認するには、「金額明示」「合意」「署名」の3要件を満たしているかチェックしてください。
Q. ハウスクリーニングとは別に原状回復費用もかかりますか?
A. はい、別途かかります。ハウスクリーニングは「清掃」であり、原状回復は「損耗の修繕」です。退去時に発生する費用の全体像は、ハウスクリーニング(2〜13.5万円)+原状回復工事(クロス・床・設備の補修費用)です。原状回復費用の詳しい相場は、原状回復の費用相場はいくら?をご確認ください。
Q. ハウスクリーニングの見積もりは何社から取るべきですか?
A. 最低2社、できれば3社から取ることをお勧めします。比較のポイントは「金額」だけでなく、作業内訳の明確さ、現場確認の有無、原状回復との一括対応の可否です。「安さ」だけで選ぶと、仕上がりの品質が低く再清掃が必要になり、結果的にコストが増えるケースがあります。