原状回復の費用相場はいくら? 1K〜3LDKの間取り別に現場のプロが解説
「原状回復、いくらが相場なの?」——管理会社の担当者から、最も多くいただく質問です。
結論から言うと、原状回復の費用相場は1Kで3〜8万円、1LDKで8〜20万円、2LDKで15〜35万円、3LDKで25〜50万円が目安です。ただし、この幅は「どこに頼むか」で大きく変わります。
この記事では、間取り別の費用相場、費用が変動する5つの要因、そして見積もりで損しないためのチェックポイントを、業界歴約11年の現場経験をもとに解説します。
間取り別の原状回復費用相場
原状回復費用は間取りと居住年数で大きく変わります。以下は関東一都三県(東京・千葉・埼玉・神奈川)における一般的な相場です。
| 間取り | 費用相場 | 主な工事内容 |
|---|---|---|
| 1K・1R | 3〜8万円 | クロス張替え、CF張替え、ハウスクリーニング |
| 1LDK | 8〜20万円 | 上記+水回りクリーニング、建具補修 |
| 2LDK | 15〜35万円 | 上記+複数部屋のクロス・床、設備交換の可能性 |
| 3LDK | 25〜50万円 | 全室クロス・床、水回り、設備交換が発生しやすい |
費用幅が大きい理由
「1Kで3〜8万円」と聞くと、「なぜ倍以上の差があるのか」と思われるかもしれません。この差を生む最大の要因は、業者の構造(中間マージン)と居住年数による汚損度合いです。
先日の現地調査では、1Kの物件で他社見積もり12万円だったものが、LinKの内訳付き見積もりでは5.8万円になったケースがありました。工事内容は同じです。差額の6.2万円は、中間マージンの有無で生まれていました。
費用が変動する5つの要因
1. 居住年数と経年劣化の度合い
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年劣化による損耗は貸主負担と定められています。居住年数が長いほど、借主負担の範囲は狭くなります。
- 1〜2年居住: 借主負担は大きめ。クロスの減価償却は6年で残存1円
- 3〜5年居住: 経年劣化分が差し引かれ、借主負担は中程度
- 6年以上居住: クロス・CFの残存価値はほぼゼロ。借主負担は最小限
2. 工種ごとの単価差
原状回復で発生する主な工種と、関東一都三県の目安単価です。
| 工種 | 単価目安 | 単位 |
|---|---|---|
| クロス(壁紙)張替え | 800〜1,200円 | /m² |
| CF(クッションフロア)張替え | 2,500〜4,000円 | /m² |
| フローリング補修 | 5,000〜15,000円 | /箇所 |
| ハウスクリーニング(1K) | 15,000〜30,000円 | /戸 |
| ハウスクリーニング(2LDK) | 30,000〜50,000円 | /戸 |
| エアコンクリーニング | 8,000〜15,000円 | /台 |
| 巾木(はばき)交換 | 500〜800円 | /m |
| 建具補修 | 3,000〜10,000円 | /箇所 |
3. 業者の構造(中間マージン)
原状回復の費用が高くなる最大の原因は、多重下請け構造です。
一般的な発注フローでは、管理会社→元請け→一次下請け→二次下請け→職人と、3〜4層の中間業者が介在します。各層で10〜20%のマージンが上乗せされ、最終的な費用は職人の実費の1.5〜2倍になることも珍しくありません。
LinKの場合は、60社以上の専門家(クロス職人、床職人、設備業者など)に直接発注しています。中間層がゼロのため、同品質の工事を15〜30%安く提供できます。
4. 地域差
同じ1Kの原状回復でも、地域によって費用が異なります。
- 東京23区: 職人の移動コストが低く、競争も激しいため比較的安め
- 千葉・埼玉・神奈川の郊外: 移動距離が長くなり、交通費が上乗せされるケースがある
- 都心のタワーマンション: 搬入経路や養生の制約で追加費用が発生しやすい
5. 見積もりの「透明性」
費用に大きく影響するのが、見積もりの書き方です。
- 「一式」見積もり: 「原状回復一式 50万円」→ 内訳が不明。何にいくらかかっているか検証できない
- 「内訳付き」見積もり: 「クロス張替え 25m² × 1,000円 = 25,000円 / CF張替え 12m² × 3,000円 = 36,000円...」→ 各工種の単価と数量が明確
管理会社がオーナーに費用の妥当性を説明するには、内訳付き見積もりが不可欠です。見積もりが不透明になる構造的な原因については見積もりの不透明さを業界構造から解説した記事で詳しく分析しています。
「適正価格」を見極めるための3つのチェックポイント
チェック1: 工種・数量・単価の内訳があるか
見積書に「一式」としか書かれていない場合、何にいくらかかっているか検証できません。最低限、工種・数量・単価の3項目が記載されている見積書を要求してください。
チェック2: 現場確認をしているか
写真だけで見積もりを出す業者は、施工開始後に「追加工事が必要でした」と後出しの費用を請求するリスクがあります。見積もり前に現場確認を行う業者を選ぶことが、追加費用リスクの排除につながります。
チェック3: 経年劣化の考慮があるか
国土交通省ガイドラインに基づく減価償却が適切に反映されているか確認してください。6年以上居住の物件で、クロス張替え費用が全額借主負担になっている見積もりは、ガイドラインに準拠していない可能性があります。
管理会社が原状回復コストを削減する3つの方法
方法1: 発注先を見直す
中間業者を介さず、専門家に直接発注できる業者に切り替えるだけで、15〜30%のコスト削減が可能です。年間50件の原状回復がある管理会社なら、年間500〜750万円の削減効果が見込めます。
方法2: 定期的な相見積もりを取る
「いつもの業者」に継続発注していると、単価が徐々に上がっていくケースがあります。年に1回は相見積もりを取り、単価の妥当性を検証することをお勧めします。
方法3: 退去立会い時のチェックリストを活用する
退去立会い時に借主負担と貸主負担の範囲を明確にしておくことで、無駄な工事の発生を防げます。特にクロスの経年劣化については、ガイドラインの減価償却表をもとに判断するのが確実です。具体的な立会いの進め方は退去立会いの完全チェックリストで詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 原状回復の見積もりは何社から取るべきですか?
A. 最低2社、できれば3社から取ることをお勧めします。ただし「安さ」だけで選ぶと、施工品質や追加費用のリスクが高まります。内訳付き見積もりを提出できるかどうかが、業者選びの最低基準です。
Q. 退去から原状回復完了まで、どのくらいの日数がかかりますか?
A. 1Kであれば3〜5日、2LDKであれば5〜10日が一般的です。ただし、業者の段取り次第で大きく変わります。LinKの場合は、1Kの原状回復を最短8日で退去から再募集まで完了させた実績があります。
Q. 原状回復費用はオーナーと入居者、どちらが負担しますか?
A. 国土交通省のガイドラインでは、通常の使用による経年劣化は貸主(オーナー)負担、借主の故意・過失による損耗は借主負担とされています。具体的な負担割合は、居住年数と損耗の状態で異なります。