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仕組み化

退去立会い廃止のメリットとリスク|導入する管理会社が増えた理由

吉野 博

株式会社LinK 代表 / 業界歴約11年 / 原状回復・リフォーム専門

「毎月の退去対応で、日程調整だけで1〜2時間消えている」——そんな悩みを抱える管理会社の担当者が増えています。退去立会いのスケジュール調整、現地への移動、借主との現場交渉。これが月に何件も重なると、それだけで担当者の業務がひっ迫します。

こうした背景から、退去立会いを廃止し、借主不在での室内確認に切り替える管理会社が全国的に増加しています。業務効率化と人手不足対応の切り札として注目される一方、「借主とトラブルになるリスクが怖い」「証拠不足で精算できなくなるのでは」という不安の声も多く聞こえます。

この記事では、退去立会い廃止の背景から、メリット・リスクの実務的な整理、廃止を成功させるための3つの条件、そして実際に廃止した管理会社の事例まで、判断材料となる情報をまとめて解説します。

なぜ退去立会いを廃止する管理会社が増えているのか?

人手不足と業務過多が限界に達している

賃貸管理業は、退去対応・入居審査・クレーム対応・工事管理と、業務の種類が多い割に担当者一人当たりの物件数が増加しています。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査によると、管理会社1社あたりの平均管理戸数は年々増加しており、担当者1人が200〜300戸以上を掌握するケースも珍しくありません。

退去立会いは1件あたり30〜60分の現地時間に加え、移動時間・日程調整・事前準備を含めると半日〜1日がかりになることも。これが月に5〜10件重なると、退去対応だけで月間20〜50時間が消えていく計算です。

デジタル化の進展が「立会いなし」を現実的にした

スマートフォンのカメラ性能向上と、クラウドストレージを活用した写真共有の普及が、立会いなし対応のハードルを大幅に下げました。入退去時の室内状態を動画・写真で細かく記録し、借主と画像を共有して確認を取る手法が実務レベルで成立するようになっています。

加えて、電子契約の普及も立会い廃止を後押ししています。契約締結から退去精算まで対面なしで完結させるフローを整えている管理会社では、退去立会いもオンライン確認・写真記録に切り替えるのが自然な流れです。

立会い時の感情的トラブルを避けたいニーズ

退去立会いは、借主と費用負担について合意を取るための場ですが、同時に感情的なトラブルが起きやすい場でもあります。「こんなところまで請求するんですか」「入居前からあった傷では」と現場で紛糾するケースは多く、担当者のメンタル負担も小さくありません。

立会いを廃止し、精算書を書面で送付する方式に切り替えることで、こうした現場での感情的衝突を回避できます。書面での請求は感情が入りにくく、国交省ガイドラインに基づいた根拠を明示しやすいというメリットもあります。

退去立会い廃止の3つのメリット

メリット1:移動時間と拘束時間を年間数百時間削減できる

退去立会いを廃止した管理会社からよく聞くのが、「移動時間の削減」の効果です。

たとえば月に退去が8件あり、立会い1件あたりの移動・現地滞在・事後処理に合計2時間かかっているとすると、月16時間・年間192時間が退去立会いに費やされています。これを写真確認方式に切り替えると、1件あたり30〜45分の確認作業に圧縮でき、年間で100時間以上の削減になるケースも珍しくありません。

削減した時間を新規物件の管理受託や、既存オーナーへのフォロー、入居審査の精度向上に充てられれば、管理会社の収益構造そのものが改善します。

メリット2:スケジュール調整の工数がゼロになる

退去立会いの日程調整は、意外と工数がかかります。退去日の確定、借主の都合確認、担当者のスケジュール確保、直前のキャンセル対応——これらをメールや電話でやり取りするだけで、1件あたり30分〜1時間を費やすことも。

立会い廃止により、「退去日に担当者が現地確認する(または業者が確認して報告する)」というシンプルなフローに統一できます。日程調整の往復が不要になるため、退去通知を受けてから精算書送付までの処理が格段にスムーズになります。

メリット3:退去精算の基準を標準化しやすくなる

立会いがある場合、現場での借主との交渉によって精算額が変動することがあります。強く交渉された結果、本来借主負担の修繕費を値引きしてしまったり、担当者によって精算の基準にばらつきが出たりする問題があります。

廃止後は「写真記録→ガイドラインに基づく査定→精算書送付」という定型フローで処理するため、担当者間のばらつきが起きにくくなります。精算書の根拠も文書化しやすく、オーナーへの説明責任も果たしやすくなります。

退去立会い廃止の3つのリスク

リスク1:入退去時の記録がないと証拠不足になる

退去立会いの最大の目的は「借主と損耗の状態を現場で確認し、合意を得ること」です。これを省略する場合、その代替となる証拠がなければ、借主から「入居前からあった傷」と主張されたときに反証できません。

国民生活センターに寄せられる原状回復トラブルの相談件数は年間1.3〜1.4万件にのぼります。立会いなし対応で精算書を送付した場合、異議申立ての割合が増加する傾向があります。証拠力のある写真記録がないと、精算を取り下げざるを得ないケースも生じます。

リスク2:入居者との「言った・言わない」トラブルが増える可能性がある

立会いがある場合、「この傷は確認しました」「ここのカビは借主負担になります」と現場で借主に直接伝えられます。立会いなしでは、精算書が届くまで借主が損耗の事実を知らない状態が続くため、精算書の金額を見て初めて驚き、「聞いていない」「見ていない」という反応になるケースが増えます。

この問題は、退去時に借主自身に室内写真を撮影・送付してもらう仕組みを設けることで軽減できますが、借主の協力が必要なため、全件対応は難しい面があります。

リスク3:残置物の確認が遅れる

立会いがある場合、借主が完全に搬出を完了した状態で現地確認が行われます。立会いなしの場合、退去日後に管理会社が確認するため、借主が残置物を残したまま退去するケースが発生しやすくなります。

残置物が発見された場合、借主への連絡・撤去の手配・追加費用の請求と、余計な対応が発生します。特に大型家具・家電が残置されると、撤去費用が数万円規模になることもあります。

廃止を成功させる3つの条件

条件1:入居時の現況確認を写真・動画で完全記録する

退去立会いを廃止する場合、入居時の現況確認が「唯一の起点」になります。入居前の室内状態を写真・動画で徹底的に記録しておくことが、廃止成功の絶対条件です。

記録のポイントは以下の通りです。

  • 撮影枚数: 1Kで50枚以上、2LDKで100枚以上を目安とする
  • 撮影箇所: 壁・床・天井・水回り・設備・建具・収納内部すべてを網羅する
  • 動画撮影: 設備の動作状態(エアコン・給湯器・換気扇・水栓)は動画で記録する
  • 保存方法: クラウドストレージ(Google ドライブ等)に日付フォルダで保存し、入居者にも共有URLを送付する

入居者に「退去時はこの写真と比較して原状回復の範囲を判断します」と伝えておくことで、借主の自己管理意識も高まります。詳しい入居時確認の方法は入居時現況確認の完全ガイドで解説しています。

条件2:退去時に借主が自己申告する仕組みを作る

退去立会いを廃止する代わりに、借主自身が退去時に室内を写真撮影して管理会社に送付する「セルフ立会い」方式を採用する管理会社が増えています。

具体的なフローは以下の通りです。

  1. 退去通知受領時に、退去時の撮影ガイドラインを借主に送付する
  2. 借主が鍵返却日の当日・前日に、各部屋を決められたアングルで撮影して送付する
  3. 管理会社がその写真と入居時の写真を比較し、損耗の判断を行う
  4. 判断結果をもとに精算書を作成・送付する

このフローにより、借主が「自分で確認した」という意識が生まれ、精算書への異議申立てを抑制できます。また、借主からの写真は撮影日時のメタデータが付与されているため、証拠としての信頼性も高くなります。

条件3:精算書に根拠を丁寧に文書化する

立会いなしで精算書を送付する場合、根拠の透明性がトラブル防止の要です。精算書に「なぜその費用が借主負担なのか」を明示することが、異議申立てを防ぐ最大の対策になります。

精算書に含めるべき要素は以下の通りです。

  • 損耗箇所の写真(入居時・退去時の比較): 「入居時はこの状態でした。退去時はこの状態です」と画像で示す
  • 国交省ガイドラインの該当箇所: 「タバコのヤニ汚れはガイドラインB区分(借主負担)に該当します」と条文ベースで説明する
  • 減価償却の計算根拠: 入居年数・設備の耐用年数・残存価値の計算式を明記する
  • 工種・数量・単価の内訳: 「一式」ではなく、クロス○m²×○円など工種別に記載する

精算書の構成と記載すべき項目の詳細は退去精算の流れと精算書の作り方で解説しています。

実際に立会いを廃止した管理会社の事例

事例A:都内の賃貸管理会社(管理戸数350戸)

年間退去件数70件、担当者2名体制。退去立会いを廃止し、写真確認方式に切り替えた結果、退去関連業務の工数が年間で約180時間削減できたと報告しています。

切り替えの際に実施した3つの施策は以下の通りです。

  1. 入居時の写真撮影を標準化: 入居前に専用フォームで50〜80枚の写真を撮影し、入居者にも共有
  2. 退去通知書にセルフ立会いガイドを同封: 借主が撮影すべき箇所と撮影方法を図解で説明したシート
  3. 精算書に比較写真を添付: 「入居時vs退去時」の対比写真を精算書と一緒に送付

切り替え初年度は精算書への問い合わせが数件発生しましたが、比較写真による説明で大半が解決し、2年目以降は立会いあり時代と同水準のトラブル件数に落ち着いたとのことです。

事例B:神奈川の管理会社(管理戸数180戸)

月5〜8件の退去が発生する物件群で立会い廃止を試験的に導入。日程調整の手間がゼロになったことで、担当者が退去処理に費やす時間が月あたり約30時間から15時間に半減しました。

導入の鍵となったのが、協力している原状回復業者(LinKのような協力会社ネットワーク型)による「退去後の現場確認→写真報告」の仕組みです。担当者が現地に行かなくても、業者が現地確認と写真記録を代行し、同日に見積もりデータを提出する体制を整えることで、立会い廃止とスピード感の両立が実現できています。

LinKの場合——立会いなしでも現場確認から報告まで対応

LinKでは、管理会社さまが退去立会いを廃止・省略している場合でも、退去後の現場確認から写真報告・内訳付き見積もりの提出まで一括して対応しています。

具体的な対応フローは以下の通りです。

  1. 退去日または翌日に現場確認: 担当者が伺わなくても、LinK側で現場に入り室内状態を確認します
  2. 全箇所の写真撮影・記録: 損耗箇所はアップ写真+全景写真のセットで記録し、報告書として提出
  3. 借主負担・オーナー負担の仕分け: 国交省ガイドラインに基づき、工種別に負担区分を整理
  4. 内訳付き見積もりを48時間以内に提出: 「一式」ではなく、クロス・床・水回りなど工種別の単価・数量・金額を明記
  5. 精算書作成のサポート: 比較写真付きの精算書フォーマットを提供し、管理会社さまの精算業務を支援

立会い廃止後のトラブルで最も多いのは「写真記録の不備」です。LinKが現場確認に入ることで、管理会社さまが現地に行かなくても、証拠力のある記録が残ります。

退去フロー全体の最適化については退去から再募集まで最短で回す方法も参考にしてください。

よくある質問

Q. 退去立会いを廃止するには借主の同意が必要ですか?

A. 賃貸借契約書や重要事項説明書に「退去立会いを行わない場合がある」と明記されていれば、個別の同意なしに廃止できます。ただし、現行の契約書に退去立会いの実施を明記している場合は、契約内容との整合を確認するか、借主に事前に書面で通知することが望ましいです。新規契約からであれば、契約書の文言を見直すだけで対応できます。

Q. 立会いなしで精算した場合、借主から異議が出たらどうすればよいですか?

A. 比較写真(入居時vs退去時)と国交省ガイドラインに基づく根拠を示した精算書があれば、大半の異議は解決できます。それでも合意が得られない場合は、少額訴訟(60万円以下の請求に利用できる簡易な訴訟手続き)や住宅紛争審査会(無料の調停機関)の活用も選択肢になります。最終的には写真による客観的な証拠がすべてのベースになるため、記録の質がトラブル解決の速度を左右します。

Q. 入居時の写真がない物件で立会いを廃止した場合はどうなりますか?

A. 入居時の写真がない状態で立会い廃止は非常にリスクが高く、推奨できません。写真がない場合は「入居前からあった傷か」の判断根拠がなくなるため、借主の否認に対抗できません。過去に写真を撮っていなかった物件については、次回の入居時から必ず記録を整備するか、退去立会いを継続する方が安全です。すでに入居中の物件の記録整備については入居時現況確認の完全ガイドを参照してください。


退去立会いの廃止は、「手間を省く」だけでなく、業務フローと記録体制を整備し直す好機でもあります。廃止前後の証拠記録の品質が、その後のトラブル件数と精算のスムーズさを決めます。

立会いなし・写真報告対応可。LinKなら退去後の現場確認から内訳付き見積もりまでスムーズに進めます。関東一都三県の賃貸管理会社さま、まずはお気軽にお問い合わせください。


株式会社LinK / 代表取締役 吉野 博 原状回復・リフォーム・リノベーション 関東一都三県対応(東京・千葉・埼玉・神奈川) HP: https://link-8.jp お問い合わせ: 03-6825-2464

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